妖精の泉

hachiya2006-01-29

最近考えている事、うまくまとまらないかもしれないけど、メモとして書いてみる。

この前読んだ本のなかの受動意識仮説では、意識というものを「錯覚だ」と断言している。
http://www.maeno.mech.keio.ac.jp/Maeno/consciousness/
僕らは、自分の意志で多くのモノを決めていると思っているが、それは「そう思うように脳がつくってある」からそう思うだけで、実は半意識の多数決によってものごとがきまる。そしてそれを多数決だと思うのではなく、あたかもなにかひとつの意志が決めたように「錯覚している」のは、進化において、そのほうが単に好都合だったから。というのがこの受動意識仮説。
つまり、意識は演算結果を見る「モニタ」にすぎず、私たちは「モニタ」がすべてのことを・・・意志決定や記憶など・・・を行っているように思うが、重要な活動の多くは後ろの「コンピュータ本体」である無意識や半意識の多数決によって決められている、らしい。
この「半意識」(ニューロンネットワークのモジュール)のことをこの本では、「小びと」と呼んでいる。小びとが勝手に自分の意志を決めているわけだが、この小人も、いちおう自分の一部ではある。しかし意志によって彼らをコントロールすることはできないらしい。
小人は、自分のそれまでの経験や訓練によって(それすらも小人が「やる」と決めているわけだが)、彼らの活動や性質は決まってくる。
たぶんイチローのなかにいる小人グループは、「ボールを打つ」ということに大して常人の数倍以上に鍛え上げられている。小人が打ったボールは、イチロー自身は「自分で打った」と思っているし、外から見てもイチローが打ったようにしか見えないが、実はその作業は多くの小人が自動でやっているのだ。
※いや、しかしイチローのインタビューなどを読むと、彼は小人の仕事をわかっているようにも思うときがある。
http://www.1101.com/ichiro/2004-03-26.html
高度なバッティングセンスの持ち主(例:長嶋)がそのバッティングのコツを言語化できないのは、長嶋がアホなのではなく、小人の活動は意識化にあるので言語には絶対に置き換えられない性質のものなんじゃろな、とも思う。
(小学生に教えるとかのレベルでは別なんだろうけど)

話がずれた。
つまり、頭がいいとかセンスがあるとかテニスが上手いとか努力家である、とかでさえもが小人の仕業だとすると、それを鍛える方法は、「繰り返し、楽しくやる」とかいいようがない。自分の心のなかの小人たちが喜ぶような方法で、それをするしかない。小人は勝手になにかを決めるのだから、自分に出来るのは、小人の要求になるべく素直にしたがって、少しでも彼らが楽しくできるように、彼らに逆らわずに行動するだけだ。

そして、古来から妖精や小人の存在・・人々の意志を決定したり代行する存在が伝えられてきたのは、そのことを人が知っていたからなのかもしれない。バイストンウェルは陸と海の間ではなく、ここにある。

つまり僕らの心は、妖精のすむ泉、あるいはコロボックルの住む山で。

僕らが出来るのは、小人たちの住んでいる環境、彼らの住んでいる山や泉を、きれいに、ここちよいものにしておくことだけなのだ。

心のなかの妖精が望まないことを「意志」がムリにやるとき、泉は濁っていく。
いや、その「意志」すら本当は妖精たちのしわざなのだが、妖精が望まないことをするときには、体をとおして警告がくる。
泉を汚すな、と。

美術や音楽やダンスやスポーツや美しい自然を見たり、体験したときに感じる「クオリア」は、脳の中のスタジアムで、多くのこびとたちが「ステキー」と騒いでいるからなのだろう。だから、芸術を仕事にする、というのは小人や妖精にとっては、もっとも好ましい仕事なのかもしれない。
そんで宮本茂さんの作るゲームが素晴らしいと感じるのは、きっと小人が沢山よろこんでいるからなんだろうな。

あと、国家や法人など、人でないモノを人的に扱うのに我々がそう違和感を持たないのは、私たち自身がすでに単一の私ではなく、社会としての私だからなのかも。(体に関しては、腸内の細菌やミトコンドリアも含めて私だし、心も実はそうなのかも。)

これら、小人や妖精たちは、僕がなにをやるべきかを、僕より前にすでに知っている・・・とか思ったのは、このへんを読んで知りました。

妖精の国からのお知らせ
http://www.faireal.net/fairyology/elfnews/

脳はなぜ「心」を作ったのか?「私」の謎を解く受動意識仮説
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480842659/249-0167317-0243531

誰も知らない小さな国
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406119075X/qid=1138513327/sr=8-6/ref=sr_8_xs_ap_i6_xgl14/249-0167317-0243531

新しい作品のシリーズ、「フェアリーファインダー」は、妖精や小人の作品なのだけど、それは僕のなかの見えない小人たちと、共同でする作業です。