今日やったこと

HK-1

週明けなので、メールの返事とか、通常業務中心で。

  • 四戸さんダウン

1/1実機を依頼しているオリンポスの四戸さんにメールで進捗を聞いたところ、インフルエンザが悪化して、肺炎になってしまっている、とのこと。
なんと緊急入院らしいです。今は無事退院されることを祈るばかりです。

  • なぜ今、飛行機を作るのか。

今日は、せっかくなので今まであまり記述してない話をひとつ。
例えば、戦前にはこういうことが行われていたりしました。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~FlyWing/JapaneseTaillessPlane/Kayaba-1.html
結局今僕がやっているようなことは、70年前にはすでに構想があって、ジェットエンジンは載ってなかったものの、試作までもが行われていたわけです。

  • 日本は本当にハイテクの国なのか?

なんとなく僕らは、技術がリニアに進化するものだと思っています。
例えば、車の性能は20年もたつと段違いになりますし、
パソコンやアプリなんか、5年で陳腐化してしまったりします。
家電にしてもそう。
こういうふうにほとんどの技術は進歩しているように見えるのですが、
ただ、航空機の世界だけは、国内では少し事情が違うようです。
まず、国産品がない。
例えば、国内の航空会社が使うのはだいたいボーイングエアバスだし、
そのほかの業務用航空機(自衛隊機も含めて)もほとんどが輸入です。
またグライダーやハンググライダーにしても、国産品というのはあまり聞きません。
まあ、産業としての航空産業は、確かにあります。
ですが、そこでやっていることは結局「パーツの製造」どまりだったりします。
技術は進歩している、少なくとも素材や加工精度の技術は段違いにあがっているはずですが、
全然飛行機は作られないのです。
なぜか。
理由ははっきりしていて、つまり「まるごと航空機を作る技術」が、
正確に言うと「航空機を全部設計できるエンジニア」が
現在の日本には非常に乏しいからです。
人がいないと技術もない。
つまり、そういう人がいない以上、具体的にモノができるはずがないのです。

  • 理由はあるのだけど。

もちろん、そうなった理由はあります。
・まず第二次大戦後、敗戦による航空禁止の期間があったこと、
・国土がせまく、航空産業を立ち上げるのには向かなかったこと、
・そもそも国内にもそういう市場が乏しかったこと、
・開発にはお金がかかるため、軍用機以外は生産出来なかった、などなど。
(そういう意味で、自力で機体とエンジンの両方を開発したホンダジェットは、
本当の快挙だと思います)
しかし、でも、とも思うのです。
できない理由があるからやんないのか?と。
実はやりゃあできんじゃないの?と。
先のHK-1にしても、実は個人的なモチベーションで、しかも
職人的な手作業で作られていた部分も大きいはずです。
その範囲だったら、出来るかもしれないと思うわけです。

不幸さを嘆くのではなく、幸運を数えれば、今はまだ「技術を継承した人」が
ぎりぎりで残っています。
たとえばオリンポスの四戸さんは先のHK-1を設計した木村秀政さん
(この方は航研機やYS-11の設計もなさった、日本の航空界の父とも言うべき方です)
の教え子でもあります。
そういう方が現役でいる間に、なんとかひとつ機体を国産で
(それもごく低予算で)作れないか、と思ったのが、
このプロジェクトを進めるモチベーションでもあります。
つまり、今だったらぎりぎり間に合う、というのが自分の考えです。

  • 宮田さん

田豊昭さんという方がいらっしゃいます。
http://www.skynet-1.com/topics/topics2002.html
このページ、ブックマークしていたのですが、
宮田さんは2004年1月1日、肝臓ガンのため帰らぬ人となられました。
宮田さんの最後の夢は、富士山から四戸さんの設計したガネットに
乗って、関東平野を横断することでした。
(宮田さんが会長をつとめる、グライダークラブのページ)
http://www.pp.iij4u.or.jp/~da-ike/kaityou-tobira.htm

この富士山チャレンジのお話は四戸さんから聞いていたものの、
お手伝いをすることはかないませんでした。

重ねますが、「ぎりぎりまだ間に合う」というのが僕の見解です。
そんで、そういう人が現役でなくなったら、本当に技術は根絶えてしまいます。
それは、まずいと思うわけです。

そういう理由も、ぼくがこれをやる理由の一つです。
もちろん「フィクションのアレ、自分だったら作って乗れる」
という思いこみもあるんですけどね。

まあ、あと大切なのは、門外漢である自分が事故を起こさないように
最大限努力するのも大切な義務だとも思っています。